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国宝・金印と同じハンコ書体「金印体®」【佐野印房】(浅草ハンコ名人会)

■日本一有名なハンコとは

日本一有名なハンコ、と聞いてほとんどの方が思い浮かべるのは、あの有名な国宝・金印「漢委奴国王」ではないでしょうか。
江戸時代、博多湾に浮かぶ志賀島で偶然発見された、文字通り金でできた印章=金印。

◇福岡市博物館オフィシャルウェブサイト「国宝・金印」紹介ページ

中国の歴史書「後漢書」には、建武中元二年(西暦57年)、漢・光武帝が倭奴国王に「印綬」を授けた、という記述があります。
(印綬とは古代中国で、官吏がその身分や地位を示すしるしとして天子から賜った、印およびそれを下げるための組み紐を指します)

以上のことから、志賀島で見つかったハンコはこの金印であると考えられています。
現在、この国宝・金印は福岡市博物館にて常設展示されています。

この国宝・金印は、もっぱら歴史のロマンやミステリー、はたまたそれ自体の真贋論争といった文脈で語られてきました。

一方、われわれハンコ業者にとっては、わが国における「ハンコ文化の幕開け」を告げる存在として、これ以上ない象徴的な意味を持っています。

それだけに、少なくとも私が知る範囲では、これまでハンコ業界において、この国宝・金印の作風を復刻しようという動きは、まったくといっていいほどありませんでした。

しかし、よく考えてみれば、国宝・金印は、日本人ならほぼ誰でもその存在を知っている、超のつく有名なハンコ。
そのデザインをどうにかして自らの作品製作に活かそうという試みが、これまでなされてこなかったことの方が、不思議と言えば不思議でした。

■勇気ある老舗ハンコ屋三代目

しかし今回、この国宝・金印の書体を現代に蘇らせるべく、敢然と手を挙げた勇気ある職人がいます。

佐野印房(御徒町・元浅草)三代目店主・牧野敬宏、彫刻中

厚生労働大臣検定 印章彫刻一級技能士・牧野敬宏(たかひろ)がその人。
彼は都内屈指の名店【佐野印房】三代目店主。

佐野印房(御徒町・元浅草)春日通りと清洲橋通り交差点

春日通りと清洲橋通りの交差点に建つ【佐野印房】は、なんと創業昭和7年(1932)、ハンコ業界では名だたる老舗ハンコ屋です。

佐野印房(御徒町・元浅草)初代・二代目店主

初代・佐野守保から二代目・忠正へと連なる名ハンコ職人の系譜は、初代・守保の孫にあたる三代目・牧野敬宏に受け継がれています。

佐野印房(御徒町・元浅草)店内

老舗ハンコ屋の若き三代目店主が満を持して挑むのが、国宝・金印に用いられた作風の再現。

「以前から国宝・金印に彫られた書体には興味を持っていましたが、当時は自分の技術が未熟で、その再現は不可能に思えました。
その後長い年月を経てようやく目も肥え、腕にも自信が持てるようになり、挑戦するなら今だ、と思うようになりました。

■2千年前の名もなき職人の大傑作

牧野はまず、手本となる現物の印影を徹底的に研究することから始めます。

◇国宝・金印「漢委奴国王 印影はこちら

「彫られている文字は一見するとシンプルな直線の集合体のように思えますが、見れば見るほど全体の構成が驚くほど緻密に計算されているのがよくわかります。

縦画は決して均一ではなく、太い中にも微妙な強弱がつけられています。また、横画は中心から左右に伸びるに従って下向きに微妙に湾曲していて、そのことが印面全体に絶妙な動きとバランスを与えています。

さらに縦画横画のいずれにも、文字線の先端が末広がりになっています。
それは、奇しくもパルテノン神殿など古代建築の柱構造に似ていて、印面全体に見事なまでの力強い安定感を構築することに成功しています。

こんな素晴らしい作品を、2千年近くも前に大陸の名もなき職人が手がけ、それが幾多の奇跡と偶然を経て現在われわれが目にすることができていると思うと、純粋に歴史のロマンを感じますが、その作風を復刻する立場としては、プレッシャーでからだが震えるのを禁じ得ません、もちろん手先は震えませんが(笑)」

■新たなハンコ書体「金印体®」の誕生

そして完成した見本がこちら。

国宝・金印「漢委奴国王」作風を再現したハンコ書体「金印体®」丸型

国宝・金印「漢委奴国王」作風を再現したハンコ書体「金印体®」角型

丸型・角型のいずれも「澁澤榮一」あるいは「澁澤」(タテ・ヨコ)と彫られています。
苦心の甲斐あっていずれも国宝・金印の作風を見事に反映しています。

「国宝・金印は文字線の部分を彫って文字が凹む、いわゆる白文という形式です。
しかしこのスタイルで彫刻すると今日の実用にそぐわない場合があります。
現に多くの市区町村では、文字が凹んでいるハンコでは印鑑登録ができません。

私は通常の印鑑として使用できるように文字が凸になる、朱文形式で彫刻します。
そうなると彫刻に用いる印刀の構造も大きく異なるので、元の国宝・金印の作風と寸分たがわず同じ、というわけにはいかず、多少はイメージが異なるかもしれませんが、先に申し上げた文字線の骨格や基本デザインは、国宝・金印を忠実に踏襲しています」

佐野印房(御徒町・元浅草)三代目店主・牧野敬宏、鳥越神社参詣

老舗ハンコ屋三代目の実力派職人が精魂込めて彫刻する、その名も「金印体®」。

ただ単に悠久のロマンが漂うだけでなく、力強く雄大な文字デザインのハンコは、人生のいろいろな局面において、それを「捺す」持ち主の背中を、しっかりと「押して」くれるでしょう。

■牧野敬宏が「金印体®」で参加する【浅草ハンコ名人会】オフィシャルウェブサイト

「金印体®」のハンコがネット通販で買える【浅草ハンコ名人会】オンラインショップ

■佐野印房オフィシャルウェブサイト

■佐野印房紹介サイト(東京印章協同組合)

金印体®は登録商標です。
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ガンコならぬハンコ親父

創業100年の老舗はんこ屋三代目店主です。
東京都内には素晴らしいはんこ屋がまだまだあります。
それらのお店を厳選して勝手にお薦めするこのブログ、
はんこ屋選びにお悩み方のお役に立てれば幸いに存じます。
店名は敬称略で失礼申し上げます。